化学発光と光電子増倍管

 

 

 

学発光や生物発光の検出器として、光電子増倍管を使用しております。

 

化学発光と光電子増倍管(Photomultiplier – PM )

 

光電子増倍管は、真空管の内面に形成された光電面(アルカリ金属などの薄い層)
に光が入射すると、光電効果により、真空中に電子を放出する現象を利用しております。
発生した電子は、光電子増倍管の内部に構成されたダイノード(1個の電子が入射すると
表面から数個の電子を真空中に放出する金属)により増幅されます。
このダイノードを約10個ならべて、そのダイノードの間に約100Vの電圧を印加する
ことで、発生した電子を加速し、つぎつぎと後段のダイノードに入射させる
ことで、最初の1個の電子を数個にし、次に数個×数個、、、というようにして
最終的に10の6乗ほどに増幅させ、電気信号パルスに変換しております。

 

フォトンカウントモードの長所

 

光電子増倍管の使用としては、フォトンカウントモードとアナログモードがあります。
フォトンカウントモードは、入射光子の数を計測するものであり、1個の光子が
入射して電気信号に変換されると、約10nsec以下の電気パルスとなり、その電気パルスの
個数を計測するものです。そのため、1秒間に数えることができる電気パルスは、最大
10の7乗から8乗に達するため、極めて大きなダイナミックレンジを持っております。
アナログモードは、光子を1個単位で計測するのでなく、入射光量をアナログ的に
計測し、AD変換をするので、4桁オーダのダイナミックレンジしか持ちません。

 

 光電子増倍管の感度

 

光電子増倍管の特徴として重要なのは、入射する光の波長に対する感度です。
紫外領域の感度は、光電子増倍管の光の入射する面が、石英であるか、ガラスであるかにより
ことなります。石英である場合は、約185nmの光まで入射することができ、感度があります。
また、赤外領域の感度は、光電子増倍管の光電面の特性により決定されます。
最大検出感度は、可視領域にあり、最大感度は、20~30%以上になります。

 

 光電子増倍管のノイズ

 

また、光電子増倍管は、光が光電面に入射しなくても、いろいろな原因で
電気信号パルスが発生します。これをノイズといいますが、光電子増倍管を冷却(約-10°以下)する
ことで、常温の時のノイズの約1/10に落とすことが可能です。
中でも、近赤外(約900nmまで)に感度がある光電子増倍管では、普通の常温(25°)で
約300counts/secのノイズがあったものが、-10°では、20counts/secに減少します。
また、この値は、光電子増倍管を低温で動かしつづけることで
さらに減少していきます。

たとえば、QP-101Nや、QS-201Fに使用している光電子増倍管では、1から2時間後には、
10counts/sec以下(図1)になっており、
また、2日後には、 (図2)となっております。
この値が小さいと、発光する微弱な信号を検知することができ、極めて重要な要素となります。

 

図1

図1

図2

図2

 

光電子増倍管の受光面積

 

1個の光子の入射にたいして、光電子増倍管より2~4倍、高感度なものとして、
APD(アバランシェホトダイオード)
がありますが、光電子増倍管の受光面積は、約1cm×1cmありますが、APDは、約1mm×1mm 以下と
小さいため、受光面積比は、100倍の開きがあります。
このため、化学発光や生物発光などのように、試料から全方位に光がでる場合は、
その光をすべて検出器に集光する必要がある場合に、光電子増倍管は非常に有利な検出器です。

 

 光電子増倍管の全体構成

 

以上に示したように、光電子増倍管で化学発光や、生物発光、ATPの検出、フォトルミネッセンス
などの検出器としては、優位な利点があります。
このような発光の検出感度を最大にあげるためには、以下の点が重要です。

 

 1、量子効率(約 10%)
2、光電子増倍管を冷却してノイズが 1counts/sec以下とする
3、発生した光を最大限に集めて、光電面に集光する
4、発光している時間をできるだけ短くして、一気に発光を終えるようにして信号/ノイズ比を向上させる